丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 5分待ち人、きたる「あいつら、相変わらず容赦なく食いやがるなァ」 しん、と静まり返ったラウンジに、洗い物の音だけが響く。 「ま、作りがいがあるってもんだ。コック冥利に尽きるぜ」 サンジの誕生日パーティーが終わり、サニー号のラウンジには主役のサンジと見張りのゾロの2人だけが残っていた。...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 6分間男ノススメ「ここの船は賑やかだな」 ルフィに洗濯物の取り込みを手伝わせて失敗しているクソコックを傍目に昼寝をしていると、横に通りすがりのエースがやってきた。 「通りすがり」というのは比喩でもなんでもなく、本当にメリーの前を通りがかったので船尾にに小船をつけて上がってきたのだ。...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 6分間男ノススメ 2「何か1杯貰えるかな?」 メリーのキッチンに気配なく届いた声に、サンジは少なからず驚いた。 「エース!?」 おやつが終わって一息ついたクルーは、めいめい好きなことをして過ごしている。 いくらエースが気配を消しても、ストライカーで接近して乗り込まれるのだから、誰かしら気付く...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 9分青春の輝き(3)「一本!勝負あり!!」 高らかにゾロの勝利が告げられ、大歓声が巻き起こるその光景を、サンジはどこか遠いところで眺めている錯覚に陥った。自分だってその場にいるのに、どこかに取り残されているような、そんな感覚だった。 見事大会3連覇を成し遂げたゾロの表情も、さすがに歓喜に満...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 2分青春の輝き(2)その光景は、いくつかの偶然が重なって見えたものだった。 明日からインターハイが始まる。ゾロの集中力が徐々に高められていくのが手に取るように分かる。 試合前に頑張れよの一言だけでも話が出来たら。そう、邪魔にならない程度に。...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 5分青春の輝き(1)「またドタキャンかよ~」 スマートフォンの画面を一瞥し、サンジはハァアとため息をついた。 開いたメールの文面には「稽古が入った。悪い」と件名すらない短い一文が記されていた。 「しょうがないんだろうけどよォ」 これだけ立て続けに約束を反故にされたのでは、さすがのサンジも堪...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 5分ケンカップルの日常「何でこんなコトになっちまったんだろうなァ」 自分の膝の上で寝息を立てている緑色の短髪を眺め、サンジは改めて疑問を口にした。 ゾロの誕生日の昼下がり、おやつはグリッシーニに生ハムを巻いたりクリームチーズのディップを添えた。...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 4分deep blue「終わったか?」 のそりとやってきた未来の大剣豪を、サンジは舌打ちをして出迎えた。 「おかげさんで。今日はカンバンだ。もう何も出ねェぞ。」 海賊は、酒が飲めればそれだけでご機嫌だ。その口実にはクルーの誕生日というのはうってつけであり、麦わらの一味もその例外ではない。我らがコ...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 7分I shallplease「……こんなの、マジで効くのかよ」 手にした小瓶をまじまじと見つめ、サンジは独り呟いた。 事の発端は、上陸した港町で食材を探している時に入り込んだ路地にひっそりと店を構える露天の店主に声を掛けられたことから始まった。 *************************...
丘咲りうら2018年1月30日読了時間: 7分火遊びの応報「クソコック、水くれ」 鍛錬を終えてラウンジに入ってきた汗だらけの隻眼の剣士を一瞥し、サンジは冷蔵庫に手を掛けた。 「水じゃダメだっつってんだろーが。汗かいてんだからちゃんとミネラルを―」 「あー、分かったから何かくれ」 「聞けよクソマリモ」...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 15分成果はいかほどに「・・・この島には物の怪でもいるのか?」 宿に向かっているはずが港に停泊しているサニー号の眼前にたどり着いたゾロは、半ば本気でそう思った。 もちろん物の怪などいるはずもなく、いつもどおりの方向音痴で奇跡的に船に着いただけだが。 もうすっかり夜も更けている。...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 5分春筍-しゅんじゅん-「お。このコゴミはいいなぁ」 上機嫌で山菜を採っては腰にぶら下げた籠に入れていく板前を、破戒僧は後ろから眺めていた。 まだ夜も明けきらないうちに「おら、山菜採りに行くからついてこいクソミドリ」と叩き起こされ、青鼻先生の所有という山へ連れてこられた。...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 9分マーキング その後(後編)「あんた、バッカじゃないの!?」 サンジを「お試し」で抱いた翌日、ゾロはナミに思いっきり罵倒された。 「普段どおり」を装っていたサンジだったが、明らかに顔色が悪く足元もおぼつかない様子はどのクルーにも「何かあったな」と勘付かせた。...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 8分マーキング その後(前編)「何か食わせろ、クソコック」 ギィ、とラウンジの扉が開き、緑色の頭がひょいと入ってきた。 「今日はもう店じまいです。明日のご来店を心よりお待ちしておりますクソマリモさま」 振り向きもせずにその気配を感じ取り、この船のコックはすげなく返す。...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 7分マーキング「・・・てめェ、頭おかしいんじゃねェ?」 思わず出てしまった言葉だったが、本心としかいいようがなかった。 事の起こりは、皆が寝静まったメリー号のラウンジで突如始まったクソ剣士の告白だった。 「俺はてめェのことが好きかもしれねぇ。だから試しにヤらせろ」...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 6分家族風呂「おいチョッパー!風呂行くぞ風呂!用意しろ」 「おおおおれ、ゾロと行くぞ!」 「てめェ、昨日も俺と行くっつって待ってる間に寝ちまっただろうがよ。今日はその手は効かねェぞ。 クソマリモは鍛錬中だからしばらく来ねぇよ。俺で我慢しろ」...
丘咲りうら2018年1月28日読了時間: 6分獣のキス「クソコック、ツラ貸せ」 ナミさんに寝る前の飲み物を用意していると、それまで酒を飲んでいたクソ剣士はそれだけ言い残してラウンジを後にした。 「なにアイツ。サンジくん、行く必要ないわよ」 ナミさんはむっとした顔でドアを睨みつけながらおれに声を掛けた。...