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君の幸せ 彼の悦び【プロローグ】

「旅に出ようと思う」 突然、青年は口を開いた。そして昨晩の気だるさが抜けきらない身体を持て余す男を気にすることなく続けた。 「自分探し、ってのかな。色んなところを旅してさ、おれが知らない世界を見てみたい」 子供のような輝いた瞳で夢を語る青年になんと声を掛けるかを考えるべく、...

君の幸せ 彼の悦び (2/17)

マルコが「一人の」生活になり、3か月が過ぎた。平凡な日々で、何の彩りもない。エースと別れた時期と繁忙期が重なり、帰りはいつも深夜を回った。寝食を忘れるほど仕事に没頭し、最近は横になっても眠れないのでベッドにすら近寄らなくなった。そんな時に、旧知のシャンクスから「久々に飲もう...

君の幸せ 彼の悦び (1/17)

「はっ!? 別れた!?」 社員食堂でデカい声を出すリーゼントに、マルコは「うるせェよい」と視線で制した。 「ああ」 「喧嘩でもしたのか? そんな風には見えなかったが」 「そうじゃねぇ。何もかも捨てて"自分探しの旅"に出るんだとよい」 「ふ~ん。自分探し、ねぇ」...

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